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■学名
Cananga odorata (extra)
(Cananga = イランイランノキ属、odorata = ラテン語で「芳香のある」を意味する。なお、extra は植物分類上の種小名ではなく、蒸留工程の初期に得られる香り高い画分を示す区分)

 

■科名
バンレイシ科

 

■抽出部位・方法
花より水蒸気蒸留法にて採取。
イランイラン精油は蒸留時間によって香りと成分の傾向が変わり、一般に エクストラ、1st、2nd、3rd、コンプリート などに区分される。
このうち イランイラン・エクストラ は、蒸留のごく初期に得られる最も華やかで拡散性の高い画分で、香水産業でも重視される。プラナロム日本公式でも、イランイラン・エクストラは「通常のイランイランをより一層濃厚にした様なとても官能的な香り」と紹介されている。

 

■主な産地・分布
主に マダガスカル、コモロ連合 など。
イランイランノキは熱帯地域に育つ常緑高木で、黄色く垂れ下がる独特の花から、甘く濃厚でエキゾチックな精油が得られる。プラナロム日本公式では、主な産地としてマダガスカル、コモロ連合が示されている。

 

■香りのノート
ミドルノート
(甘く濃厚なフローラルに、南国的な果実感、わずかなスパイス感、バルサム様の深みが重なる官能的な香調)

 

– 心をほどき、感情の緊張をゆるめる、濃密な花の香り –

イランイラン・エクストラ精油は、イランイランの中でも特に華やかで、明るく、甘く、強い存在感を持つ香りです。
ジャスミンを思わせる濃厚なフローラル調に、熟した果実のような丸み、わずかにスパイシーでバルサミックな余韻が重なり、少量でも空間の印象を大きく変えます。

その香りは、単なる「甘い花」ではありません。
緊張で固くなった心をほどき、呼吸を深くし、内側の感情をやわらかく開いていくような力があります。
一方で、香りが非常に強いため、使いすぎると頭重感・気分不快・眠気につながることもあります。イランイラン・エクストラは、“たっぷり使う精油”ではなく、“一滴で空気を支配する精油”です。

 

🧪 特性・有用性

科学+感性のバランス

😌 リラックス・鎮静
緊張や高ぶりをやわらげ、心身を落ち着かせる香り。

💓 自律神経・心拍の落ち着きサポート
ヒト試験では、イランイラン芳香により血圧や心拍数の低下が示された報告がある。

🌙 休息前の気分づくり
眠りそのものを直接治療するというより、入眠前の緊張を緩める目的に向く。

🌸 情緒の解放・自己肯定感のサポート
不安感や緊張、自己評価の低下に対する小規模研究があり、気分面への可能性が示唆されている。

💐 官能性・親密感の演出
伝統的に「催淫的」「ロマンティック」な香りとして扱われてきたが、これは医学的な性機能改善というより、香りによる心理的ムード形成と考えるのが妥当。

🌿 皮脂バランス・スキンケア補助
脂性肌・頭皮ケアに用いられることがあるが、敏感肌では刺激・感作リスクがあるため低濃度が前提。

🍃 緊張性のこわばりの緩和補助
筋肉を直接ほぐすというより、心理的緊張の緩和を通じたリラクゼーション目的に適する。

 

🧭 歴史と伝承

イランイランは、東南アジア原産の香り高い花として知られ、名前は「花の中の花」を意味する言葉に由来するとされる。古くから髪や肌を香らせる目的、花飾り、香油、香水原料として利用されてきました。
特にエクストラ画分は、揮発性が高く華やかな香気成分を多く含むため、香水産業ではフローラル、オリエンタル、シプレ調の香りに用いられてきました。

アロマセラピーでは、緊張をほどく香り、感情をやわらかく開く香り、親密な空間を演出する香りとして伝えられてきました。
 

🌿 香りの特徴

香調:
濃厚なフローラル、南国的、甘美、ややスパイシー、バルサム調、わずかにパウダリー

印象:
官能的・華やか・濃密・陶酔的・包容感

心理的作用:
緊張の緩和、感情の解放、安心感、自己肯定感、親密な雰囲気づくり

ブレンド相性:
ベルガモット、スイートオレンジ、グレープフルーツ、ネロリ、ジャスミン、ローズ、ゼラニウム、サンダルウッド、ベチバー、パチュリなど。
甘さが強いので、柑橘系と合わせると重さが抜け、ウッディ系と合わせると大人っぽい奥行きが出る。

 

🧪 主な芳香成分

※産地・ロット・蒸留画分により変動します。以下はイランイラン・エクストラに多く見られる成分傾向の目安です。プラナロム取扱店では、酢酸ベンジル、酢酸ゲラニル、安息香酸ベンジル、ゲルマクレンD、β-カリオフィレン、α-ファルネセン、リナロールなどが主要・特徴成分として示されています。

・ゲルマクレンD:10〜20%前後
 セスキテルペン炭化水素類。温かみ、深み、安定感のある香りに関与。

・酢酸ベンジル:10〜18%前後
 甘く華やかなフローラル感の中心成分。イランイランらしい濃厚な花の印象をつくる。

・α-ファルネセン/ファルネセン類:6〜15%前後
 柔らかな甘さ、グリーン感、奥行きに関与。

・p-クレゾールメチルエーテル:5〜13%前後
 イランイラン特有の濃密でやや薬草的・スパイシーなニュアンスをつくる。少量でも香りの個性が強い。

・リナロール:7〜12%前後
 フローラルで柔らかい香り。鎮静・リラックス感に関与する成分として知られる。

・安息香酸ベンジル:4〜10%前後
 甘く重いバルサム様の余韻に関与。香りの持続性を高める。

・酢酸ゲラニル:2〜10%前後
 ローズ様、フルーティ、華やかな印象を補強する。

・β-カリオフィレン:2〜8%前後
 スパイシーでウッディな温かみを与える。香りに落ち着きと奥行きを加える。

 

🌼 期待される作用と「科学的信頼度」

・リラックス・鎮静

【期待される作用】緊張の緩和、心身の落ち着き
【主な関与成分】リナロール、酢酸ベンジル、ゲルマクレンD
【エビデンス・出典】Ylang-ylang aroma and blood pressure / Relaxing effect of ylang-ylang oil
【科学的信頼度】★★★★☆
ヒト試験で血圧・心拍数の低下、主観的な落ち着きが報告されている。ただし、被験者数は大規模ではなく、医療的な鎮静薬の代替ではない。

 

・不安感・情緒の揺らぎサポート

【期待される作用】不安感の軽減、自己肯定感の補助
【主な関与成分】リナロール、p-クレゾールメチルエーテル、酢酸ベンジル
【エビデンス・出典】Aromatherapy with ylang ylang for anxiety and self-esteem
【科学的信頼度】★★★☆☆
小規模ながら、不安や自己評価に関するヒト研究がある。香りによる心理的介入としては有望だが、精神疾患の治療効果とまでは言えない。

 

・自律神経の落ち着き

【期待される作用】緊張時の心拍・呼吸の落ち着き、休息モードへの切り替え
【主な関与成分】リナロール、酢酸ベンジル
【エビデンス・出典】Ylang-ylang aroma on blood pressure and heart rate
【科学的信頼度】★★★☆☆〜★★★★☆
芳香吸入で血圧・心拍数の低下が報告されており、交感神経優位をやわらげる可能性がある。ただし、低血圧傾向の人には使いすぎ注意。

 

・睡眠前のリラックス

【期待される作用】入眠前の緊張緩和、休息環境づくり
【主な関与成分】リナロール、エステル類
【科学的信頼度】★★★☆☆
イランイラン単独で睡眠を強く改善する臨床エビデンスは限定的。睡眠薬的に見るのではなく、「眠る前の心を静める香り」として使うのが適切。

 

・官能性・親密感の演出

【期待される作用】ロマンティックな雰囲気づくり、感情の開放
【主な関与成分】酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、p-クレゾールメチルエーテル
【科学的信頼度】★★☆☆☆
伝承・香水文化では非常に強い位置づけがあるが、性機能やホルモンに対する明確な臨床効果は確認できない。

 

・PMS・更年期に伴う情緒面のサポート

【期待される作用】イライラ、緊張、落ち込み感への芳香サポート
【主な関与成分】リナロール、エステル類
【科学的信頼度】★★☆☆☆
ホルモンそのものを調整する精油と考えるのは不適切。PMSや更年期の“情緒的つらさ”に対して、リラックス目的で補助的に使う位置づけが妥当。

 

・皮脂バランス・頭皮ケア

【期待される作用】皮脂が気になる肌・頭皮のケア補助
【主な関与成分】リナロール、β-カリオフィレン、安息香酸ベンジル
【科学的信頼度】★★☆☆☆
化粧品・ヘアケア領域での伝統的使用はあるが、ヒト臨床データは限定的。さらに感作リスクがあるため、低濃度使用が前提。

 

🔍 科学的信頼度の目安

★★★★★:ヒト臨床で力強い再現性
★★★★☆:複数のヒト研究・基礎研究で支持
★★★☆☆:小規模ヒトデータ+伝統使用
★★☆☆☆:伝承・基礎研究中心
★☆☆☆☆:データ限定、または誇張に注意

 

🏡 使用シーンと暮らしへの提案

・緊張が抜けず、呼吸が浅いときに
【使用例】芳香浴で1滴。ベルガモットやスイートオレンジと合わせると使いやすい。
【期待される作用】緊張緩和、気分の落ち着き。

 

・就寝前、頭の中が騒がしいときに
【使用例】寝室では単独1滴以下、またはラベンダー・アングスティフォリアにごく少量ブレンド。
【期待される作用】休息前のリラックス、感情の鎮静。

 

・自分を責めがちな日、気分が沈むときに
【使用例】ティッシュやアロマストーンに1滴未満。香りが強い場合は柑橘系で希釈感を出す。
【期待される作用】自己肯定感、気分のやわらぎ。

 

・ロマンティックな空間づくりに
【使用例】サンダルウッド、ベチバー、オレンジとブレンドして芳香浴。
【期待される作用】親密感、温かさ、安心感の演出。

 

・PMSや更年期で気分が揺らぎやすいときに
【使用例】芳香浴、またはキャリアオイルに0.3〜0.5%以下で希釈し、胸元や腹部に少量。
【期待される作用】ホルモン調整ではなく、情緒面のリラックスサポート。

 

・頭皮やヘアケアの香りづけに
【使用例】植物油や無香料シャンプーにごく低濃度でブレンド。
【期待される作用】甘く華やかな香りづけ、気分転換。
※敏感肌・頭皮トラブルがある場合は避ける。

 

🔔 使用上の注意

・香りが非常に強いため、1滴でも多い場合がある。まずは少量から。
・皮膚塗布は、一般的なボディ用でも 0.5%以下 を目安にする。Tisserand & Young に基づく安全情報では、イランイラン精油は皮膚感作リスクがあり、最大皮膚使用濃度は 0.8% とされる。
・敏感肌、炎症部位、傷のある皮膚、乳幼児への使用は避ける。
・低血圧傾向のある方、眠気が困る場面、集中作業前は使用量に注意。
・妊娠中・授乳中・持病や服薬がある場合は、専門家に相談する。
・目・粘膜への接触、原液塗布、飲用は避ける。
・香りが濃すぎると、頭痛・吐き気・だるさを感じることがある。
・開封後は酸化を避けるため、遮光・冷暗所保管し、早めに使い切る。

 

※本ページは学術情報および一般的なアロマセラピー情報に基づく解説です。医療的効能を断定するものではありません。疾患の治療、診断、予防を目的とするものではなく、体調に不安がある場合は医療専門職に相談してください。

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