■学名：Vetiveria zizanoides
■科名：イネ科
■抽出部位・方法：根より水蒸気蒸留法にて採取
■分布地域：インド、ハイチ、インドネシア、マダガスカルなど熱帯地域に広く分布
 
– 大地の記憶を宿す、深く静かな香り –
ベチバー精油は、熱帯の大地に深く根を張るイネ科植物の根から抽出されます。 その香りは、湿った土壌を思わせるような深いウッディさと、スモーキーでスパイシーな余韻を併せ持ち、心を地に足のついた静けさへと導きます。 精神的な揺らぎを鎮めたいとき、グラウンディングしたいときに。 ベチバーの香りは、揺るぎない安心感をもたらし、あなたの内側に静かな強さを育みます。
 
🧪 特性・有用性（科学＋感性のバランス）
🌙 精神安定・鎮静作用：セスキテルペン類が神経系に働きかけ、深いリラックスを促す
🌿 グラウンディング・集中力向上：心の浮つきを抑え、思考を整理し、集中力を高める
😌 安眠・緊張緩和：就寝前の芳香浴やトリートメントに最適。深い眠りへと誘う
 
🧭 歴史と伝承
ベチバーは古代インドのアーユルヴェーダにおいて、冷却・鎮静・浄化の目的で用いられてきました。 その根は土壌保持にも役立ち、香りだけでなく環境保全にも貢献する植物として知られています。 ハイチ産のベチバーは特に香りの品質が高く、香水業界でも重宝されてきました。 「静けさの精油」として、心身のバランスを整えるための伝統的な使用が世界各地で受け継がれています。
 
🌿 香りの特徴（深く、静かで、スモーキーな大地の香り）
香調：スモーキーで土っぽいウッディノートが主軸。ミドル〜ベースノートに位置し、持続性が高い
印象：湿った土壌、古木、スパイスを思わせる重厚な香り。男性的な印象が強いが、ユニセックスで使用可能
心理的作用：鎮静・抗不安・グラウンディングに優れ、心の揺らぎを静める。瞑想やセルフケアにも最適
 
🧪 主な芳香成分
クシモール（10〜20％）
・湿った土壌を思わせるウッディでスモーキーな香り
・鎮静、抗不安、抗炎症、神経系の安定化
 
ベチベロン（5〜15％）
・重厚で土っぽい、深みのある香り
・鎮静、抗菌、皮膚再生、瘢痕形成促進
 
ベチベロール（5〜10％）
・スパイシーで甘みのあるウッディな香り
・抗菌、抗炎症、鎮痛、皮膚強壮
 
α-セスキフェランドレン（〜5％）
・温かみのあるスパイシーウッディな香り
・抗炎症、免疫調整、抗酸化
 
β-エレメン（〜5％）
・樹脂様のウッディで落ち着いた香り
・抗菌、鎮静、抗酸化、皮膚保護
 
🌿 ベチバー精油の期待される作用と科学的信頼度
・精神安定・鎮静作用
　【期待される作用】ストレス緩和、情緒安定、睡眠導入
　【主な関与成分】クシモール、ベチベロン、ベチベロール
　【エビデンス・出典】Vetiver Oil and Its Sedative Effect、Modification of sleep-waking and electroencephalogram induced by vetiver essential oil inhalation、Lavender, cedarwood, and vetiver balms work as an anti-stress treatment by reducing plasma cortisol levels
　【科学的信頼度】★★★★★（ヒト臨床試験が複数存在し、一貫して高い再現性）

・抗不安・抗うつ作用
　【期待される作用】不安感の軽減、気分の安定
　【主な関与成分】ベチベロール、ベチベロン
　【エビデンス・出典】Study on the Efficacy of Vetiver Essential Oil Aroma on Depression/Anxiety People
　【科学的信頼度】★★★★☆（ヒト試験あり、プライマリ評価は不安だがうつへの全面検証は限定的）
 
・抗菌・抗ウイルス作用
　【期待される作用】感染予防、免疫サポート
　【主な関与成分】ベチベロン、β-エレメン
　【エビデンス・出典】In vitro antimicrobial activity of vetiver root essential oil Chrysopogon zizanioides (L.) Roberty, and relationships with their major chemical compounds、A Review on Chemical Composition, Oil Quality, and Bioactivity of Vetiver Essential Oil、In vitro antimicrobial activity of vetiver root essential oil Chrysopogon zizanioides (L.) Roberty, and relationships with their major chemical compounds
　【科学的信頼度】★★★☆☆（in vitroデータは豊富だが、ヒトや動物の臨床試験は未確認）
 
・抗炎症・鎮痛作用
　【期待される作用】炎症緩和、筋肉痛・関節痛の軽減
　【主な関与成分】ベチベロール、α-セスキフェランドレン
　【エビデンス・出典】An overview of the chemical composition and bioactivities of Vetiveria zizanioides (L.) Nash essential oil、A Review on Chemical Composition, Oil Quality, and Bioactivity of Vetiver Essential Oil、Lavender, cedarwood, and vetiver balms work as an anti-stress treatment by reducing plasma cortisol levels
　【科学的信頼度】★★★☆☆（基礎および動物データはあり、ヒト試験は限定的）
 
・皮膚再生・瘢痕形成
　【期待される作用】傷跡ケア、年齢肌サポート
　【主な関与成分】ベチベロン、ベチベロール
　【エビデンス・出典】A Review on Chemical Composition, Oil Quality, and Bioactivity of Vetiver Essential Oil
　【科学的信頼度】★★☆☆☆（伝統使用・基礎データあり、エビデンスとしては仮説段階）
 
・グラウンディング・集中力向上
　【期待される作用】思考の整理、瞑想サポート
　【主な関与成分】クシモール、ベチベロン
　【エビデンス・出典】Vetiver Oil and Its Sedative Effect
　【科学的信頼度】★★★☆☆（基礎的な脳波データあり、ヒトの注意力・瞑想改善の臨床での検証は今後）
 
🔍 科学的信頼度の目安：
　　★★★★★：ヒト臨床試験での再現性が高く、複数の研究で支持されている
　　★★★★☆：動物実験やin vitro研究で強い支持があり、伝統的使用とも一致
　　★★★☆☆：基礎研究や伝統的使用に基づくが、ヒト試験は限定的
　　★★☆☆☆：初期研究段階、または伝統的使用に基づく仮説レベル
　　★☆☆☆☆：エビデンスが乏しい、または一部の報告に限られる
 
🏡 使用シーンと暮らしへの提案
就寝前のリラックスタイム
【使用例】アロマランプ／ティッシュに滴下し枕元に
【期待される作用】深い鎮静、入眠促進、安心感の付与
瞑想・セルフグラウンディング
【使用例】芳香浴／ロールオン／アロマペンダント
【期待される作用】思考の整理、心の安定、集中力向上
ストレスケア・メンタルバランス
【使用例】日中の芳香浴／ポケットアロマ
【期待される作用】情緒安定、緊張緩和
肩こり・筋肉疲労のケア
【使用例】マッサージオイルにブレンドして塗布
【期待される作用】筋緊張緩和、血流促進
スキンケア・年齢肌のサポート
【使用例】美容オイル／クリームへの添加
【期待される作用】皮膚再生、瘢痕形成、抗炎症
 
🔔 使用上の注意
妊娠初期は使用を避ける。授乳中は医師または専門家に相談の上使用
6歳未満の子どもには原則使用を避ける
高濃度での使用は香りが強すぎるため、少量からの使用を推奨
EU指定アレルゲン（ベチベロールなど）を含むため、敏感肌・アレルギー体質の方は事前にパッチテストを推奨
 
※本ページは学術情報に基づく一般的なアロマセラピー情報です。医薬的効能の断定や診断・治療の代替を意図しません。疾患や服薬中の方、妊娠・授乳中、乳幼児・高齢者への使用は、必ず専門家の助言を得てください。