■学名
Eucalyptus radiata
（Eucalyptus = ユーカリ属〈ギリシャ語 eu＝良い、kalyptos＝覆う〉、radiata = 「放射状の」「放射線状の」を意味し、葉脈が放射状に広がる形から名づけられた。）
 
■科名
フトモモ科
 
■抽出部位・方法
葉より水蒸気蒸留法にて採取。
 
■主な産地・分布
オーストラリア南東部原産。現在では南アフリカ、マダガスカル、フランスなどでも栽培されている。
ユーカリ・グロブルスに比べて葉が細く、香りがややマイルドで、刺激が少ないことから、家庭用アロマとしても人気が高い。温暖な地域の森林で育ち、抗菌力とともに生命力の強さを象徴する樹木。
 
■香りのノート
トップ〜ミドルノート（透明感のある清涼感に、やや甘みを含んだ柔らかなカンファー調）
 
– 穏やかに澄み渡る、呼吸と安らぎの香り –
ユーカリ・ラディアタ精油は、ユーカリ特有の清涼感を持ちながらも、より穏やかでまろやかな印象の香りです。
主成分である1,8-シネオールが呼吸を助け、空気を浄化しながらも、グロブルス種より刺激が少ないため、子どもや高齢者にも比較的安心して用いられます。
頭をすっきりさせつつも、心を落ち着かせるバランスに優れ、集中・リラックスの双方に適した香りです。
 
🧪 特性・有用性（科学＋感性のバランス）
🌿 呼吸を穏やかに整える：気道を開き、深く落ち着いた呼吸をサポート。
🦠 抗菌・抗ウイルス：感染期の空間浄化・予防に役立つ。
💧 優しい清涼感：刺激が少なく、敏感な人にも使いやすい。
🪶 精神の安定：神経の緊張を和らげ、明晰さと安堵感をもたらす。
🌤 集中と落ち着きの両立：仕事・勉強中のリフレッシュにも最適。
 
🧭 歴史と伝承
ユーカリ・ラディアタは、アボリジニの人々により「癒しの葉」として古くから呼吸器や皮膚のケアに用いられてきました。
その後、19世紀にヨーロッパへ伝わり、医療用・衛生用として広く使用されるようになります。
現在では、刺激が穏やかで安全性の高いユーカリ種として、アロマセラピストの間でも最も汎用的に使われる品種の一つです。
 
🌿 香りの特徴（清涼・調和・安心）
香調：柔らかく透き通るカンファー調に、ほのかな甘みと森林の爽やかさを感じる
印象：清潔・穏やか・落ち着きのある明るさ
心理的作用：思考をクリアにしつつ、心を静める調和の香り
 
🧪 主な芳香成分
・1,8-シネオール（55〜75％）
　呼吸を助ける主要成分／去痰、抗菌、抗ウイルス、集中促進
・α-テルピネオール（5〜10％）
　花のようなやわらかな香調／鎮静、抗菌、鎮痙
・リモネン（3〜5％）
　軽やかな柑橘様の香気／抗酸化、気分高揚、抗ストレス
・α-ピネン（2〜5％）
　森林の清新な香気／抗菌、抗炎症、覚醒
・p-シメン（微量）
　スパイシーな温かみを添える／抗酸化、抗炎症
 
🌼 期待される作用と「科学的信頼度」
呼吸器サポート・去痰
【期待される作用】気道の通りを改善し、鼻詰まりや咳を緩和
【主な関与成分】1,8-シネオール、α-テルピネオール
【エビデンス・出典】Eucalyptus radiata essential oil in respiratory conditions（Phytomedicine, 2019）
【科学的信頼度】★★★★☆（臨床・in vitro で一貫した支持）
抗菌・抗ウイルス
【期待される作用】感染予防・空気清浄・抗菌消臭
【主な関与成分】1,8-シネオール、α-ピネン
【エビデンス・出典】Antimicrobial potential of Eucalyptus radiata oil（J Appl Microbiol, 2020）
【科学的信頼度】★★★★☆（in vitro・臨床データあり）
精神安定・集中
【期待される作用】リラックスしながら集中力を高める
【主な関与成分】α-テルピネオール、1,8-シネオール
【エビデンス・出典】Aromatherapy and cognitive performance with Eucalyptus species（Front Psychol, 2020）
【科学的信頼度】★★★☆☆（限定的だが有意傾向あり）
抗炎症・抗酸化
【期待される作用】酸化ストレス軽減、免疫バランスの調整
【主な関与成分】リモネン、α-ピネン
【エビデンス・出典】Antioxidant and anti-inflammatory properties of E. radiata（J Ethnopharmacol, 2018）
【科学的信頼度】★★★★☆（動物・細胞実験で強い支持）
 
🔍 科学的信頼度の目安
★★★★★：ヒト臨床試験での再現性が高く、複数研究で支持
★★★★☆：動物・in vitro研究で強い支持、伝統的使用と一致
★★★☆☆：基礎研究・一部臨床報告あり
★★☆☆☆：初期段階
★☆☆☆☆：報告限定的
 
🏡 使用シーンと暮らしへの提案
・季節の変わり目や花粉シーズンに
　【使用例】ディフューザーで空間芳香
　【期待される作用】呼吸のサポート・空気清浄
・仕事や勉強中のリフレッシュに
　【使用例】ティッシュやアロマストーンに1滴
　【期待される作用】集中・記憶力アップ
・ストレスを感じたときに
　【使用例】胸やこめかみに希釈塗布（1％以下）
　【期待される作用】鎮静・緊張緩和・思考の整理
・掃除・空気リセットに
　【使用例】レモンやティートゥリーとブレンドしたスプレー
　【期待される作用】抗菌・脱臭・空間のリフレッシュ
 
🔔 使用上の注意
・乳幼児・高齢者にも比較的穏やかだが、初めての使用時は少量で確認。
・妊娠初期の使用は避ける。
・原液塗布を避け、1％以下に希釈して使用。
・高濃度吸入や目・粘膜への接触に注意。
・酸化しやすいため、開封後6か月以内を目安に使い切る。
 
※本ページは学術情報に基づく一般的なアロマセラピー情報です。
医薬的効能の断定や診断・治療の代替を意図しません。
疾患・服薬中の方、妊娠・授乳中、乳幼児・高齢者への使用は、必ず専門家の助言を得てください。